先日、療育関係で講演会がありました。
『発達障害の合併症について』というお話でした。
内容は
“自閉症スペクトラムの人の7割はうつ病になる”
などというショッキングなものでした。
“うつ病は治療が出来る”
とフォローがありましたがそれにしてもショッキングでした。
発達障害の合併症とは
“合併症”には大きく2つの意味があります。
①ある病気の進行中、その病気に起因するか異なる原因によるか関わらず、
その病気と無関係に発する病気
②2つ以上の症患が併存した状態、種々の原因で発生する病気
発達障害の合併症は②の意味ですね。
主にうつ病や適応障害などの精神疾患を発症します。
発達障害と精神疾患の違い
発達障害
・基本的に治癒することはない
・治療薬はあるが症状の軽減のみで、根治はしない
精神疾患
・治癒する(治癒をめざして治療する)
・発見、治療開始が遅れると治りにくくなる
保護者が発達障害の合併症を知らなければいけない3つの理由
発達障害だけでも受け止めきれないのに、これ以上は無理!と思ってはるでしょう。
私もそう思います。
でも知識は愛情と同じくらい大事です。
きちんと対応できるよう、合併症についての知識も深めていきましょう!!
①発達障害の子は合併症が多い
発達障害があると精神疾患になりやすいというデータがあります。
普通の人でもなるのに、発達障害の子は特に
生きにくさを抱えているのでそらそうでしょうね。
②合併症の発症が気づかれにくい
もともと発達障害による問題行動があるので、
合併症によってあらたな問題が出てきても見分けがつがず、
「発達障害だから、、」と放置されるリスクが高いです。
③合併症は早く治さないと手遅れになる
発見、治療が遅れるとどんどん治りにくくなります。
※逆に言うと早く治療を始めると早く治ります。
治療期間が長くなるほど問題行動による失敗体験が増え、
その子の心に大きな傷を残してしまいます。
子どもの精神疾患は早く手を打たないと
こじらせる可能性が高いので要注意です。
合併症が生じるパターン例
発達障害がある
↓
何も対策をしない
(対策が十分でない)
↓
困難にぶつかる
↓
周囲のサポートがない
(サポートが十分でない)
↓
失敗体験が増える
↓
新たな障害が生じる(←合併症!)
発達障害の合併症の発見方法
「うちの子最近、なんかおかしい。いつもと違う」と思うことです。
「なんかおかしい」の具体例
合併症を併発していると、普段と違う行動が必ずあります。
子どもに不穏な違和感を感じたら“合併症”を疑ってみてください。
①睡眠のリズムの変化
極端に睡眠時間が短くなったり、今までなかった夜泣きなどがはじまったら
合併症の疑いありです。
②急に凶暴になった
今までなかった暴力行動が出てきたら要注意です。
自分への暴力、他人(家族や友達)への暴力などです。
発達障害児の精神疾患の相談先
児童相談所や子ども支援センターなどの機関では
合併症の有無の判断はできません。
児童精神科医にみてもらうのがベストです。
※一般精神科医でも診察は出来ますが、
子ども専門のトレーニングをしていないと
治すことは出来ないそうです。
児童精神科医は人数が少ないので、お住まいの地域の
どこの病院にいるのか事前に調べておきましょう!
精神科の治療ってなんだか薬漬けにされそうなイメージ
子どもの精神疾患の治療の基本は主に3つあります。
①療育環境の調整
その子に適した環境を考え、改善していきます。
部屋のインテリアなどの物理的な環境だけでなく、
家族や友人、先生などの周りの人の理解を深める人間関係の環境も。
②認知行動療法
物の受け取り方や考え方に働きかけて
気持ちを楽にする精神療法(心理療法)。
悲観的に考えがちな心の状態を
上手くストレスに対応できる心の状態へと導きます。
③薬物療法
出来るだけ使わないようにするのが基本方針です。
統合失調症、躁鬱病、特定のうつ病の治療では必須。
むやみやたらに薬漬けにされるわけではないので、勇気を出して受診しましょう。
発達障害の子の合併症の割合データの話
参考:DSM-5精神疾患の診断・統計マニュアル2014
①自閉症スペクトラムの合併症
自閉症スペクトラムの子の70%が1つの精神疾患を、
40%が2つ以上の精神疾患を合併する。
注意欠損、多動症、不安症候群、抑うつ障害群が多い。
②ADHD(注意欠損・多動症の合併症)
・反抗挑発症(約45%)
・不安症候群(約25%)
・素行症(約16%)
・うつ病(約10%)
・双極性障害 躁鬱病(約5%)
レジュメをうつしただけですが、なんか大変そうな数字が並んでいます。
「こはるはうつ病になるもんや」と思って子育てした方がいいんですかね。
テンションが下がります(-_-;)
親の精神的の健康が大事
テンションが下がると書きましたが、
凹んでいる場合ではありません。
子ども→母親→父親
の順に病んでいく事例が多くあるそうです。
もう家庭崩壊ですよね。
子どもの健康も大事ですが、まず親の精神の健康が大事です。
色々こじらせる前に早期対策です!
まとめ
・発達障害の子は合併症を引き起こしやすい
・合併症は治るので、早期発見、早期治療が大事
・児童精神科医に診てもらうこと
・お父さん、お母さんの心の健康が一番大事
なんか最近うちの子おかしい!と思ったら、
「合併症の可能性もある」と知っていることがとても大切です。
小学校高学年~中学生ぐらい(思春期)あたりが要注意ですよ!!